私の名前は天馬ふぇみお凌辱系専門エロ漫画家である。

 仕事熱心で実直な私は、日夜読者の期待にこたえるべくペンを振るい、資料集めと称してネットでエロ画像を漁り大量にストックし、インターネットに興じた後は『アナル肉体捜査官 フィストでGO姦』みたいなページを誰かに見られないように、閲覧履歴を全て消去してからブラウザを閉じる、そんな繊細な心配りのできる大人の男である。

 そんな私の性癖がどのように形成されたかを探る旅もこれが最後である。私は現在30代なりたてであるが、30代の人間なら誰もが避けては通れなかった性の階段がある。

 同年代の方なら誰もがうなずくであろう肉体の門、それが少年ジャンプである。

 今でこそ子供向けバトル漫画と子供向けギャグマンガしか載ってないあの雑誌であるが、20年前、『ジャンプ黄金時代』と呼ばれ発刊部数600万部を超えていたあの頃の少年ジャンプは、青いをもてあましていた当時の小学生にとってもまさに『黄金時代』であり、少年ジャンプで勃起する者たちが多数いて、少年ジャンプでオナニーした者も少なからずいた。

 『シェイプアップ乱』という作品では毎週のようにB地区(われわれ専門家はオブラートに包み乳首の頃をそう呼ぶのだ)が出ていて、『シティハンター』でもB地区こそ見えないものの際どい入浴シーンがけっこうあった。その他にも『気まぐれオレンジロード』なども誰かが学校に持ってくると、学級会で問題になるくらいであった。

 そんなエロさにおいてもパラダイスであった少年ジャンプに満を持して登場し、純粋な小学生たちの包茎チンポを一斉に天高く勃起させたのが桂正和大先生の伝説の作品、『電影少女』だったわけだ。

・・・しかし、わたしが2009年性癖への旅の最後にあげるのは、残念ながら『電影少女』ではなく別の作品であった。
 


その4 「てんで性悪キューピッド」

 ジャンプ黄金時代の末期に掲載された漫画。当時のジャンプのなマンガの2大亀頭、いやちがった2大巨根・・・もとい2大巨頭といえば、「ビデオガール」「てんで性悪キューピッド」であった。

 当時の小学生の間でこの二つのマンガはいわば踏み絵のようなものであり、それを読んでいるということをカミングアウトした瞬間、「スケベ」のレッテルを貼られてしまうのだ。
 私の周りはみんな少年ジャンプを買っていたが、みんな「俺あのマンガだけは読んでないよ」とうそぶいていた。

 で、私はというと、ジャンプを買っていなかったくせに、エッチな話の載っている号だけは拾ってきて、押入に隠し、しっかり読んでいた。

 ちなみに刺激度と、絵のエロさ(うまさ)は「ビデオガール」の方がダントツなのであるが、にもかかわらず私は「てんで性悪キューピッド」の方が好きだった。

 女性の好みというのは一口では語られない。顔だけでなく、性格、しぐさ、声、様々な要素が複雑にからみあって、その人物の魅力を構成していく

 だから私が、なぜ電影少女のヒロインよりもきゅーぴっどのヒロイン、マリアにそそられてしまったのか、その要因を説明することは非常に困難なわけだが、あえて説明を試みるならば、『マリアの方が巨乳だから・・・以上!』ということになる。
 
 そう、私はおっぱい星人なのだ。最近よく使われるようになった、空気が読めない人に使う『KY』なる言葉、私は最近まで『巨乳』の略だと思っていた。

 で、そのてんで性悪きゅーぴっどである。

 これの作者の方は、今でこそ少年漫画の王道っちっくなバトル漫画を描いて、「どれだけ休載すれば気が済むんだ!」「ネーム載っけてンじゃねーよ!」と叩かれながらもなんだかんだで絶大な支持を得ているのだが、20年前も、表向きは世の小学生から「ジャンプの恥だよ」、「俺あんなの絶対よまねーし」などと蔑まれながらも、彼らのチンポからは熱烈な支持を受けていたのだ。

 血は争えない・・・そういうことなのだ。



 さて、このマンガの中で、ヒロイン、マリアが張りつけにされて悪戯されるという話がある。子供心に興奮した。あらすじをかいつまんでご紹介しよう。

「ふと気づくとマリアは台の上に寝転がっていた。
”お目覚めかい?”
自分を好色そうな面持ちで見下ろしているのは自分をこのパーティーに誘った金持ちの御曹司の金倉健太だった。

 四肢を結ぶ鎖が突然四隅に引っ張られていき、それにつられマリアの体も大の字に開いていった。
”それじゃあまず、診察するので服を脱がしマース”

 そういうと金倉はメスでマリアの胸元から服を切り刻んでいった。
 彼女の白い柔肌があらわになっていく。
 
 左右の乳首の部分だけはピンポイントでうまい具合に布が残っているのは、おそらくこの男の・・・いや、むしろ作者のなけなしの良心なのだろう。
fa3f2e1c.jpg



”そんな怖い顔して睨み付けないでよ。せっかくだから楽しもう?”

そしてむき出しにされた彼女の肢体を指先でなぞるようにして全身をくすぐっていく。

”きゃははははは・・・やめて~”



・・・なんかどっかで見たことあるようなシチュエーションなんですけど・・・冨樫先生、あなたもやはり・・・・・?!


f7047fa4.jpg





 いかがだったであろうか、私の性癖のルーツを探る心の旅・・こんなものを真面目に読んでる人間が果たしてこの広い地球といえども一人でも存在してるのだろうか・・・?

 <完>