《初めての骨折》


 私の名前は天馬ふぇみお凌辱系専門のエロ漫画家である。

 私がデビュー当初から描き続けている雑誌、エンジェル倶楽部から半年振りくらいに仕事の依頼が来たので、先日までその原稿に追われていた。
 2月15日が締切といわれていたが、編集さんから
『無理にとは言わないけど・・・もし可能ならば、2月12日、週末休みに入る前に原稿もらえると進行上とても助かります』
と言われたので、私自身、週末ゆっくり休みたいという思いもあり、
『大船に乗ったつもりでいてください』
と大見得を切り、必死で原稿を描いたものの・・・余裕で終わらなかった

 12日の夕方に編集さんから「データあげてもらえました?」と電話がくる。

 ちなみに今はPC上で漫画を仕上げてるので、わざわざ原稿を届けに行かなくても、サーバー上に原稿のデジタルデータをアップロードすれば、あとは編集さんが勝手にダウンロードしてくれる。

 この仕事は信用が第一。できると言ったけど出来てません、などとは言える訳がない。
 私は平然と答えた

「今最後の仕上げ中なので余裕です。日付が変るまでには終わらせますんで
 私にとって、夜の12時までに終わらせれば>約束どおり12日中に原稿を上げたことになるのだ。

 結果的に全てのデータをアップし終わったのは結局日付変った夜中の3時過ぎだったわけだが・・・・

 編集さんとの約束は微妙に守れなかったものの、仕事を終え、私は安堵感に包まれながら、眠りについた。


 翌日の土曜日・・・左太腿の付け根の筋肉がひどく痛い。

 足を曲げたりすると特に痛い。座っていても患部に圧迫感を感じ、立つか寝てるかしてないと落ち着いて過ごせない。一週間座りっぱなしで仕事に励んだので、パーッと体を動かしたくて、キックボクシングの練習に行こうかと思っていたが、これではキックどころではない。
 かといってセックスも無理だ。腰を打ち付けるたびに激痛が走るようではとてもイケそうもない。そもそもセックスの相手がいない。

すぐに直るだろうと思っていたのだが、一向に痛みがひかない。座ろうとすると痛いというのが致命的である。することが何もない。
 さすがの私も弱気になった。座り仕事が出来ないのだったら漫画家廃業である。自慢じゃないが、昔ゲーム会社に就職して一ヶ月で辞めた経歴を持つ社会不適応者の私に、漫画家以外の仕事などできようはずもない。


週明けの月曜日、病院に行って、レントゲンを撮ったところ、下された診断は・・・

 骨盤側部の剥離骨折
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図のように骨盤と大腿骨の繋ぎ目辺りの骨の小さな破片が、剥離してしまったらしい。

 
 剥離が起こったのはつい最近らしいのだが、とんと覚えがない。一週間前にキックボクシングの練習に出たが、練習中に傷めた覚えも痛くなった記憶もない。それ以降はひたすら座って仕事をしていただけで、激しい運動といえばオナニーくらいしか思いつかない。手を激しく動かしすぎてその手が骨盤に強く当たってしまったからなのか?もしそうなら・・・オナニーも命がけである
 ちなみにお医者様からはとりあえず安静にして一週間後また来い、と言われ、湿布だけ渡された。

ってそれだけかよΣ(゜Д゜;)

 そんなわけで、この一週間は家事も仕事もせず、ひたすら寝転がって、ちょうどいい機会だとばかりにゲームボーイアドバンスをやるという堕落した怠惰な生活を送っていた
 仕事人間の私としては非常に心苦しい。夢中になってゲームにのめりこみながらも、ああ、自分はクズ人間だなぁと自虐の念に駆られずにはいられない。

 と、ここまで書いてふと思ったのだが、ゲームボーイにひたすら没頭するのと、女性が愛する人に裏切られた挙句に無理矢理犯されて調教され性奴隷にされて売られていくような血も涙もない陵辱漫画をひたすら描きまくるのと、人としてはどちらがクズなのだろうか・・・?