私の名前は天馬ふぇみお凌辱系専門のエロ漫画家である。

ちなみに、東京生まれの東京育ちながら小学校のとき4年間だけ鹿児島で過ごした生粋の九州男児である私は、人に職業を聞かれたときに「ア・・・えと・・・漫画家です・・・」みたいなみみっちい答え方はしない。
 「お父さん、お嬢さんを僕にください」ぐらいの言い方で胸を張り、相手の目をまっすぐに見つめ「エロ漫画家です」と男らしく答えている
 どうせ「漫画家です」といったら「どんな漫画描いてるの?」と絶対訊かれる羽目になるのでだったら最初から正直に答えた方がいいのだ。

 ただし、一口にエロ漫画といっても、その定義をハッキリと答えられる人は案外少ない。そこで今日のテーマはこれである

Q3.そもそもエロ漫画って何

 世間の方々の大半は、漠然と、Hな漫画のことをエロ漫画と思ってる。

 じゃあ、「電影少女」はエロ漫画なのか?とか「二人えっち」は一般漫画なのか?とか、分類学上の問題点が色々出てくる。確かに昔は、エロ漫画と一般漫画の区別は曖昧だった。

 だが、時は1990年、まさに世紀末、イカれたPTAのおばちゃまたちが大騒ぎして背筋も凍るエロ漫画狩りが起こる。その前年に起きた、幼女連続誘拐殺人事件の宮崎勉の部屋からポルノ漫画も見つかったことこともリンクされ、エロ漫画の大弾圧が起きたのだ。

 いわゆる、安政のエロ大獄もしくは遊人の乱と呼ばれる、歴史の教科書にも載ってる(と思われる)大事件である。

 『遊人』とは、森本塔(山本直樹)と並ぶエロ漫画界のカリスマであり、天下の小学館のヤングサンデーでエロ漫画を発表した勇者である。
 いまでこそエロ漫画業界は画力のインフレ状態で、画力だけなら下手すりゃ一般メジャー誌の作家よりうまいじゃん、みたいなのがゴロゴロしてるが、20年前のエロ漫画といえば本当に下手糞の巣窟で、先人を貶める気はさらさらないのだが、このレベルの絵でも上手いと評されて馬鹿売れしてたような時代である。
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↑股間の異様な膨らみがなんなのかは謎である。
きっとズボンの中にとてつもない凶器を隠してる
のか、もしくは作者の頭の中にとてつもない狂気
が隠されているのかのどちらかである。



 そんな中で、圧倒的な画力、巧みな話作り、性器をはっきりとは描写していないものの、スクリーントーンでかなり生々しくマンコの形を描いて見せる過激さ・・・それも天下の ヤングサンデー誌で、ということで遊人の登場は画期的であったのだ。
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↑普通は結合部は白抜き、もしくは塗りつぶしが基本なのだが、トーンでぼんやりとはいえ
マンコの形を鮮明に描くこともあった。この時代においてまさに勇者である。

 で、遊人が描いた『校内写生』と『ANGEL』は馬鹿売れし、彼は原宿の近くに、彫刻が立ち並ぶような成金趣味丸出しの豪邸を建て、巷でそれは「ANGEL御殿」と呼ばれてるらしい。
 そんな遊人が当時のエロ漫画批判の矢面に立たされたのは想像に難くなく、ANGELは次第に過激さを失い、それとともに人気も失い、やがて打ち切りとなった。久米宏が、ニュースステーションでエロ漫画片手に社会の危機を叫んでたような暗黒時代が本当にあったのである。
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↑遊人『ANGEL』第2巻より。巨乳化学教師、Eカップマドンナ先生には中学時代、私もずいぶん
お世話になった。実際乳頭ズリをやろうと思ってもEカップ程度じゃとても足りないこと、
そして乳頭ズリが出来るほどの化け物じみた巨乳になるとほぼ間違いなくデブしかいない
という哀しい現実に気づくのは少年が大人になってからである。



 で、一般漫画とエロ漫画を明確に分けよう、ということで、『成年コミック』というマークが生まれた。青少年に害悪なエロ漫画は『成年コミック』マークをつけて区別し、コンビニや子供が立ち寄りそうな場所では売らない、流通に乗せない、ということになったのだ。
 かくして「有象無象の漫画の中でなんとなくエロイ漫画=エロ漫画」というような括りだったのが、『成年コミックマークのついた漫画=エロ漫画』という定義づけが生まれた。
 エロ漫画は「=成年コミック」という確固たるアイデンティティを手に入れたわけである。
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 では、具体的に『成年コミック』とはどのようなものなのか、次回のQ&Aで触れてみることとしよう