私の名前は天馬ふぇみお、Gが大嫌いな癖に自慰は大好きな、複雑純情e-ロマン画家である。

 Gとは何かというと、黒光りした不浄な生物、ゴキブリのことである。ちなみにゴキブリの語源は「御器噛り(ごきかぶり)」から来ている。シロアリの仲間であるゴキブリは雑食性だがいざとなればシロアリのように木や紙を食べて生き延びられる超生命体であり、残飯どころか器まで噛ることから「御器噛り(ごきかぶり)」と呼ばれるようになったそうだ。
 股間にぶら下がった黒光りした『勃起被り』を毎日愛でている私であるが、
黒光りしたゴキカブリはまるで愛でる気にならない・・・世の中は実に複雑である┐(´д`)┌。
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《G再度襲来》

 夏のある夜、黒い影が頭上を滑空していくのに気づき、二時間かけてヤツを撃退した。屋内への侵入を許したのはここ十年で初めてだったのでショックだったが、きっと窓を開けたちょっとした隙をついて入り込んだのだろうと思っていた。
 しかし、一週間後の同じく夜、奴はまた現れた。天井付近の壁を歩き回ってやがったのだ。
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 私は即座に殺虫剤を手にとった。前回の教訓を踏まえ、猫に無害な天然殺虫成分配合の『凍らすジェット ゴキブリ秒殺』というスプレーを買っておいたのだ。

アース製薬 凍らすジェット ゴキブリ秒殺 300mL









 スプレーを噴射するとヤツは長押の溝の中に落ちていった。

 長押(なげし)とは和室特有の壁上部にある出っ張りのことである。出っ張りの中は溝になっていて、中を覗くと土壁の欠片とか埃が積もっている。
 この長押、よくよく考えれば虫けらどもに格好の隠れ家を与えるだけで一体何の役に立ってるのかさっぱり分からないが、日本家屋の和室には必ずついている

 私の仕事部屋は元々薄汚い畳の和室だったのだが、PCやデスクを置くためにフローリング床にリフォームしてもらっている。
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 だが長押については、リフォーム屋さんに「床だけ洋風にするのも変なので長押も取っ払っちゃいますか?」と訊かれたけど「別に見た目とか気にしないんでそのままでいいっすよ。和洋折衷っつーのもいいんじゃないすかね(o^―^o)b」といって断っていたたのだ。
 本当はリフォーム代を少しでもケチりたかっただけ
なのだが、今になって心の底から後悔している。
 こんなクソみたいなもの、取っ払っちまえばよかった(# ゚Д゚)!!


 しかし今更後悔しても仕方ないので、私は長押の溝の中に殺虫剤を噴射しまくった

 このスプレーは冷気によってGを攻撃する仕組みなのでガスが直撃しないと意味ないが、人間やペットに無毒な天然殺虫成分も入ってるらしいので手当たり次第に散布してれば薬が効いて弱ってくるはずである。
 とにかくGを始末しない事には安心して仕事することも寝ることも出来ないのに、スプレー缶をほぼ全部使い切ってもヤツは長押の中から出てこない。

 長押の溝の中で死んでるならそれを確認しなければ、と思い脚立に登り、懐中電灯片手に中を覗いてみたところ・・・急にGが溝からカサカサ元気に這い出てきたΣ(゚Д゚)

 私は脚立から転げ落ちそうになり、思わずスプレー缶をGに向かって投げつけた。つーか殺虫剤効いてねーじゃねーかΣ(゚Д゚)!

 後で調べてみたところ、その
『凍らすジェット ゴキブリ秒殺』に含まれている有効成分はハッカ油であるが、ハッカ油はGが嫌いな香りではあるものの殺虫作用は全くないらしい・・・・じゃぁ効く訳ねーじゃねーか(# ゚Д゚)!!素直にゴキジェット買っときゃよかった・・・( ;∀;)

 とりあえず缶を投げつけられたGはビックリして下に落っこちていったように見えたが姿が見当たらない。
 そこからはまたゲリラ戦である。室内のとっ散らかったモノをどかしながらヤツを探していく。しかし結局夜中まで探してもヤツは見つからなかった。
 Gを取り逃がしたことがショックだったが、それ以上に一週間で立て続けにGが同じ部屋に出たことがショックであった。
 外から忍び込んできたのだと思っていたがこの頻度で出てくるってことは・・・・この家のどこかにヤツラの巣があるんじゃねーのか((((;゚Д゚))))?

 それは想像するだに背筋が凍る話であった。

(続)